<No,0429>炎の向こう側にあるもの

ご縁があり、お焚き上げの現場を見学し、少しだけお手伝いをさせていただきました。

冬の冷たい空気の中で、勢いよく立ち上がる炎。
近づくと寒さは一瞬で消え、ただただ熱さに耐える時間になります。
炎は、目の前にあるものを迷いなく包み込み、形を変えていきます。

全国から集まったお焚き上げ品は実にさまざまでした。
古い写真、仏壇や仏具、お札やお守り。
人形やぬいぐるみ、そして手紙。
どれも「モノ」として見れば、ただの物体なのかもしれません。

けれど、一つ一つを前にすると、そうは思えなくなります。
そこには必ず、誰かの暮らしがあり、家族がいて、時間が流れてきたはずです。
楽しいことだけでなく、悩みや葛藤、山も谷も含めた人生の一部。
整理したいもの、手放したいもの、縁を切りたい想い。
それぞれの決断の先に、この場所があるのだと感じました。

写真を仕事にしていると、「残す」ことばかりに意識が向きがちです。
記録すること、形にすること、未来へつなぐこと。
けれど今回の経験を通して、「手放す」「区切る」という行為もまた、
人にとってとても大切な時間なのだと改めて考えさせられました。

今年も終わりに近づき、私自身の心も自然と引き締まったように思います。
残すもの、続けるもの。
そして、そっと手放すもの。

炎の向こう側を見つめながら、静かにそんなことを考えた一日でした。